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執筆者の写真Mayumi NIshiura

鏡餅はどう飾る?


あなたのおうちの鏡餅は?伝統は?

以前、土曜日の朝に「佐和子の部屋」と言うトーク番組が放送されていたのですが

作家の岩下尚史さんがゲストの回があった事を思い出しました。

岩下さんは日本の伝統芸能に関してとても造詣が深く、

独特のしゃべり方でわかりやすく解説することで注目を集めていらっしゃいます。


この方の喋られる事が一々ドストライクでした。

芸能、特に古典芸能について語られていたのですが

興味のない人に興味を持たせるのが抜群に上手いです。


「ご自分のうちの鏡餅をどういう風に飾るかご存知ですか?」

いわゆる伝統文化のもとについて語られていたのですね。


自分のうちの鏡餅の飾り方もわからないで、能だ歌舞伎だ伝統芸能だと

いくら詳しくなってもそれはちょっとしょうがないんじゃないかと。

本当は、自分で帯も絞められない

お茶も点てられないんじゃ歌舞伎芝居も、

本来は味わうことが遠いけど、関係性が水くさくなってます。

本で読んだ知識や誰かが言った解説を通して物事を見ることが多くなってる。

もっと自分で触ったり嗅いだり食べたりなめたりして触れて味わい尽くさないと

演じてる人も甲斐がないし、こちら側の喜びが少ないような気がします。


西洋音楽についても同じだと思うのです。

そのオペラが語られた時代についてどう思うのか

その時代の空気、風土、風習、着る物や食べるものetc...

そういったものの上に芝居が成立しています。

自分の歌う歌の背景をどれだけ知識として知っていますか?

そしてどれだけその時代の空気を感じ同化していますか?


お稽古というものについても語られていました。


習ったものを見せるチャンスがないんです

そうおっしゃる方多いんですが、もともとああいうものは

なんのためにするもんじゃあない。

所作の前に出てお辞儀して、お稽古してもらって

ありがとうございましたと帰る。その時間が大事。

それを誰かに見せようと言うのは・・教わり楽しむ。

お師匠さんも、成長の具合が人間として高まっていくところを見るので

ただ技術的につながっていくわけじゃない。

自分の心持ちが安らぎを持てる、そういう喜びだったんじゃないでしょうか。


もうね、これドンピシャです。

お稽古って本来そういうものなんです。

技術の向上は欲しいのですが、何より心の豊かさの成長ですよね。

受験生もいますので悠長な事ばかり言ってはいられませんが

まずは自分の心の中を覗き込む事から始めて欲しいんです。

そうすると礼儀作法がとても重要である事がわかります。

いつから古き良き日本人の美徳が消えてしまったのでしょう?

お稽古をする事がコンビニの商品の一つのように

お月謝を払った客だから何をしてもいい、

そんな風に思われるのはとても悲しいですね。

躾と言う字は身が美しいと書くんです。

お化粧で無理やり作った美しさではなく

内面から滲み出る本來の美しさです。

所作が美しいと言う事はお金に代え難いものなんです。

いつからそれがないがしろにされて来たのでしょう?


日本の男たちの心もちが変わった。

本来は料亭、お茶屋に行くと

「やだな」と思う奴いるじゃないですか。どんな業界でも

「コイツ死んでくれりゃいいのに」ってやつ。

そういうやつこそ呼んでもてなして友好関係を作るのが

昔の旦那たちだった。表向きは和やかだけど。

だから芸者衆を呼ぶんですね。

男ってしょうがないですよね。

かんしゃくもちだし酒が入るとつかみ合いになる。

そうならないように利口な芸者衆を呼ぶ。

ケンカしないようにいい関係になるように計らう。

男として「招いた客が喜んでかえる」のも昔の日本の男の喜びだった。

今は割り勘とか「何のメリットがあるの?」とか

なってみなけりゃわかんないようなことを聞く。

昔のような男たちが少なくなった。

30歳ぐらいの時よく聞いた言葉に

「こんなことしてるの日本だけだから」

でも外国でも宴の文化はあるんですよ。

花柳界が衰退していくのは時の流れで仕方がないかもしれないが

新しい社交の場をおつくりにならないと、負けちゃうような気がする。


これを聞いて大阪市であった文楽問題を思い出しました。

「対費用効果」って言葉、大嫌いです。

文化というものに普通のビジネスのタイムテーブルを

持ち込まないで欲しいんです。

文化というもの、その技術は長い時間を掛けて染み込むように

少しずつ成長して行くものなのです。

ですから、絶対儲けないと開き直るわけではありませんが

旦那衆になったつもりで、長い目で見守って欲しいのです。

間違っても政治家のセンセイ方が率先して

「2位じゃダメなんですか?」なんて発言をして

成長の芽を摘むような事は避けて頂きたいなぁ…と。


他にも色々と思う所がありました。

文化の育たない国は寂しい国だなぁ。

文化のない所に、知のない所に愛は育たないのではないかと。

そして命に対する愛情すらなくなるのではないかと。

最近の子供たちの痛ましい事件を見る度に思うのです。


音楽教室はその場を作る事を学ぶ事の下地になってくれれば

お稽古事の場、発表の場がそういう場になってくれれば

これからそんな望みを持っています。



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